再生Game Planについての基本的な考え方

こんにちは、UWIN株式会社の中根です。

(1) 米国のサブ・プライム問題が引き起こした世界恐慌の真っ只中にある日本、
(2) 固有の構造的問題が抗し難く大規模化の一途を辿っている日本、
(3) 世界経済の軸が高度成長経済圏にシフトし、米ドルは下がり、円は実力以上に高くなり、
(4) グローバル・プレゼンスの相対的な縮小という下り坂に突入した日本
日本が歴史的に経験したことのない難しさが、日本企業を覆い始めた。

国内経済成長がマイナスで、輸出が円高で思うように伸ばせず、加えてこの環境で価格の値下げ競争を市場から強いられる。高度経済成長にうぶ声を上げ、そのDNAが変わっていない企業が日本には沢山残っている。だから、今後の日本企業は再生戦略なしでは出口がない。

そこで、限られた経験ではありますが、日本企業・米国企業の経営再生プロジェクトで私が学んだこと・経験したことをお話しすることにしました。(私が歩んできた道の詳細は、創業者のプロフィールに載せてあります。)

一回目の今日は、再生Game Planについての基本的な考え方を述べます。

TAM (Turn Around Management) CEO、企業再生をミッションとするCEO には、仕事を引き受ける前に重要で真剣で正直に行うべきプロフェッショナル・タスクがあります。

(1) 最初のタスクは、経営一般については当然として、自分がその企業の経営再生を行うのに相応しい知見と技量を備えているかの判断です。再生する企業が属する産業特有の知見が十分にあるかの自己判断 − 胃腸の医者が脳の診断をするような事は、絶対に避けなければならない。

(2) 対象の企業の診断・DD (Due Diligence) を行い、手遅れでないか否かを判断します。手遅れでなければ、経済合理性に基づいた再生戦略(財務・商品・人材・ビジネスモデル・顧客)の策定を行います。MCMR (Minimum Change, Maximum Return) の原則で考えます。手術 (Restructuring) はできるだけ一回で済ませたいのです。何を持って手遅れと判断し、その場合の出口はどうするかは、後で述べます。

(3) 次に、再生戦略に基づいて、自分にできること、自分ですること、自分でできないこと、他の人にやってもらうことを項目別にリストアップします。そして、その為に必要なタレントのニーズ・タイミング・候補者名を明確にします。何時までに内部・外部からタレントを採用するという計画です。

(4) 患者の残された体力に関し調査し、手術 (TA = Turn Around) に許される LT (Lead Time)を決定し、段取り良く手早く手術を行っていく計画を策定します。根本原因の除去をおこなう手術の時間はできるだけ短くする。歯の治療でもおなかの手術でも痛みと出血は少ないほど良いわけです。ここで再認識しておくべきことは、TAM CEOは外科医であることです。患者は生きている組織であり人間の集団なので、ともすると理念とか、心構えとか、意識改革とかという議論が出てきますが、それは術後のリハビリ (Rehabilitation) フェーズの事です。しかも、ここは内科医や精神科医の出番です。あなたは、内科医や精神科医に自分の心臓手術を任せますか?分かりやすいことですが、現実によくあることなのです。

(5) 先に述べた再生戦略にオペレーションに対する考慮を加え、再生完成までの時間、工程、手術費用、リハビリ費用等を明確にしていきます。繰り返しになりますが、TAM CEOがその会社の事業に関し門外漢のような人であっては、良い・実行可能な再生戦略は策定できません。自分でできないので、人に頼むことになる。であれば、それまでのCEOとどこが違うのでしょうか。TAM CEOの業界知識は不可欠です。私は大企業であっても再生に3年以上かけてはいけないと思います。社員・顧客・パートナー・銀行・株主の体力、忍耐、期待の限度は3年が良いところではないでしょうか。

(6) 再生計画の肝は、その企業が持っている Competence は何かという点です。パテント・コピーライト・IP (Intellectual Property)・スキル(人材)を良く理解し、そのCompetence を核に資源を調整し、選択と集中が自己 Competence に裏づけされているように調整します。そこで再度、戦略を見直し、その選択と集中を持ってその企業が市場で存在する価値があるか、頭の中でSimulation を行い判断します。

今日はここまで。
次回は、経営目標の立て方、OEとSPの違い等を述べようと思います。
やがて、資本とか株主とかコンプライアンスについても述べてみたいと思います。

それでは。

中根 滋